024:バレンタインデー




 ちゃーん、と侑士がやたらめったら上機嫌でやってきたので、鼻先でドアを閉めてやった。それでもめげずにひどいやん、と自分で合鍵を使って奴は入って来る。

「今日なんの日か、知っとる?」
「知らない」
「………」
「………」
「………」
「……冗談。あんた来んの早いんだよ」
「早いって…もう昼過ぎやで」
「起きたばっかりだもん」
「………」
「だからまだ作ってない」
「………」
「だから今からつくるんだよ!不満そうにすっとやらねえぞコラ!!」
「すんません(即答)」
「よし。じゃあ適当に待ってて」
「了解」

 居間のソファに腰掛けるとなるほど、本当に昼まで寝て居たらしい。パジャマがテキトーにたたんで放ってある。たたみなおして洗面所へ持って行くと、台所からあ、ありがとーと彼女の声がした。
 台所をのぞくと、もともと要領があまりよくない彼女があちこち歩き回りながら菓子作りを開始している。エプロンせーへんの〜?と尋ねると怒られた。

 あまり見ているともっと怒られるので、おとなしく居間に戻ってテレビをつけると、やがて出来上がるであろう彼女の手作りチョコを想った。早く出来んかなぁ。