025:ホワイトデー




「で、お返しは?」

 朝起きるなりそう言って来た彼女にちょっぴり悲しくなった。自分の時は昼まで待って、さらに待たされて結局貰えたのは夜だったのに。

「俺の愛」
「…ふぅん、今迄くれてなかった訳、アンタの愛」
「いや…あの…冗談です…」
「そうね。で、ブツは」
「……こちらで御座いますお嬢様…」

 まるでヤバいものか何かのような呼び方をされて、さらに悲しくなった。いや、まあいつものことなのだが。
 チェストの横に置いてあったプレゼントを取ってきて差し出すと、彼女は本当に嬉しそうに笑った。
 あけていい?と尋ねながら彼女は早速リボンをときにかかる。それでは訊く意味がないだろうと思ったが、嬉しそうなので言うのはやめておいた。それにしても物をあげた時が一番素直だというのはどうなんだろうか…。

 考えているうちにやや乱暴に包装紙を開いた彼女が歓声を上げた。可愛い〜!
 あたりまえだ、彼女が気に入りそうなテディベアを買ったのだから。

「ありがとう侑士だいすき〜」
こちらを全く見ずに彼女はさらりと言った。
ほんま、こういう時しか言うてくれへんのやもんなぁ。

「気に入った?」
「うん、かわいい〜」

 どうやらツボらしい。相当気に入ってくれたようだ。それは嬉しいのだが、くまに頬擦りをしてしまいにはキスをしている。相手はぬいぐるみやで
 自分にもなかなかしてくれないのに、うらやましい…。何が悲しくてぬいぐるみに嫉妬しなければならないのだろうか。自分でプレゼントしておいてアレだが、ちょっと悔しい。

 うらめしく見つめてみても彼女はくまに夢中だった。しかしものすごく嬉しそうににこにこしていて可愛いので、まあいいか。結局いつも、この笑顔には敵わないのだ。