039:無意識




いつもとは立場反対な感じで奴がソファで寝こけていたので、起こしてやった。
だってもうすぐ夕ご飯の時間だ。今起きてくれないとご飯はもれなくインスタントになる。

それは正直(あたしが)困るので起きてもらわなくちゃ。
今日はクリームシチューが食べたいけど作り方わからないし。

おしたりさーんおきてくださーいと呼び掛けて体を揺すると、
ん〜、だかあ〜、だかよくわからない返事がかえってきた。
疲れてるのかな。普段は寝起きいいのに今日はなかなか起きない。

まだ半分寝ているような彼に問い掛けてみた。疲れてるの、眠たい?
すると彼はすこしだけ眼を開けて、平気やで〜とやはり眠たそうに。
そうは言うけれどここまで眠そうにしているのは初めて見る。
試合の後でさえ結構元気にしてたのに。

…仕方ないなぁ。


半身を起こして眼鏡を探そうとする奴の体をソファに押し戻して毛布をかけてあげた。
今日はあたし作るよ、パスタしか出来ないけどと言うと、
今日は優しいなと手が伸びて来て頬に触れた。
そんなにまわりを見てないみたいなのに、あたしがどの辺に居るかはわかるんだろうか。

「…もちろん麺茹でるだけのほぼレトルトだからね」

頬に触れてから子供にするように髪を撫ぜた彼にそう言うと、ええよ別にと微笑んだ。
トマトも切るだけだからねと念を押すと、今日は優しいなぁとまた言う。
それはもう聞いたってば。


寝ぼけてるんだか何なんだかわからないけれどいつもと何か違う奴が照れくさかったので、
髪を撫ぜ続けている心地良い手を除けてさっさと台所へ向かった。
ごはん係りはずっと奴だったから台所に立つのも久し振りだ。
でもまあこんなのもアリかもしれない。時々は優しい彼女しとこっと。