043:









「ねぇどうしよ次の次の次に当たる、4番見せてよんばん!」
「自分で考えな為にならんやろ」
「だって答え合わないんだもん!何がおかしいの!?」
「ちょお、見せてみ」
「ん」
「……ここ、マイナスやなくてプラス」
「え!あ、あ、ホントだ〜」
「それでちゃんと計算したら合うんやない?」
「わ、ありがと忍足さすが眼鏡!」
「眼鏡は関係ないんとちゃうん…」

その時は計算地獄から抜け出せるのが嬉しくって。
できた〜ありがとう、おかげで何とかなりそうだと。そうお礼を言おうとした、何気ない一瞬だったのに。
何だかよく知らない眼の色彩をして、手が伸びて来た。

おもろいなぁは、と髪をぐしゃぐしゃ撫でて。
名前はじめて呼ばれた。頭の隅で思う。
耳に残る響きはいつまでも消えなかった。
真正面から受け止めた彼の笑顔がちいさないちさな、恋という色彩の種を蒔いていった中学一年の、あの春。