093:我慢
たえられないと、彼の首にかじりついて言った。
我慢したくない。実に率直な感情を、けれど頬を肩に預けたままその耳元で小さく吐露する。
彼は小さく息を吐いた。
溜め息か、笑ったのか。或いはそれとも。
濃密な雨の夜の気配、まるで審判を待つかのようにわたしは目を閉じた。
囁く様に名前を呼ぶ声。冷えた指がわたしの背にそっと。