055:自転車




 青春っぽいことがしたくなったので、自転車二人乗りをした。漕ぐのは奴で、あたしは座布団をくくりつけた不格好な荷台に憧れの横座り。それも高校卒業したってのに、わざわざ制服着て。

 我ながら阿呆だなと思ったけれど、青春ごっこは楽しかった。
 自転車で丘の上の公園まで行って、夕日をバックにキスをしよう。缶紅茶を買って手を暖めながら帰るんだ。まだ寒い日暮れに頬を赤く染めながら。