072:崩壊
「ねえ侑士」
「…な、何?」
何だか久し振りに彼女が名前で呼んでくれたような気がしてひどく驚いた。というか何か企んでいるのではないだろうか。思わず返事がビクついてしまう。
一瞬間があって、彼女は堂々と言い放った。
「一緒にお風呂入ろっか」
「な、なに言うてんねん!ホッホンマに!?」
「ううん、嘘」
0.5秒くらいでちょっと嬉しそうな俺を一刀両断した彼女は、今日エイプリルフールだから、と付け足した。あんまりだ。嘘つくならつくでどうしてもっと別の類いの嘘にしてくれないのだろうか。
ボクだって育ち盛りのオトコノコなのにとつぶやくと、キモいと怒られた。もっと優しくしてくれてもいいと思う、今日この頃。
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