077:ストレス




 屈託なく笑うのが煩わしいと、はじめは思ったのだ。
 今思えば、ただ眩しかっただけだっただろう。変に捻くれていたあの頃。趣味が合って話すのが楽しかった。よく笑って、少しからかうとすぐ怒るのが可愛いと思った。強がりで寂しがり。特別美人なわけでもないのに。
 落ち込んでいるのを見ると悲しかった。笑っているのが一番自然だと。

他のものに目を向けられるのが嫌で、寂しがりなのにつけこむように抱き締めた。けれど彼女も嬉しそうに微笑ったのだ。泣いたあと、自分が居てくれてよかったと。

 小さく握り返した指。ひとまわり小さな手のひらは震えていた。決して手放すものかと誓ったあの日。いつも通り笑いかける彼女に俺も、微笑み返した。